2013年9月14日土曜日

中国:進行する習近平の強権実行:市民弾圧とネット規制、社会主義法への回帰

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●12日、新浪微博は登録ユーザーが5億人以上の中国最大の簡易投稿サイト。そこでユーザーのコメントをチェックする審査スタッフとして働いていた4人を取材し、その内情をまとめた報道が発表された。写真は新浪微博。


朝日新聞 2013年9月14日0時25分
http://www.asahi.com/international/update/0913/TKY201309130454.html

中国当局、また活動家連行 「新公民運動」中心メンバー

 【北京=林望】
 中国で公務員の資産公開などを通し政治や社会の改革を訴える「新公民運動」の関係者が相次ぎ拘束されている問題で、北京市警察当局は13日、中心メンバーのひとりで実業家の王功権氏(51)を公共秩序騒乱の容疑で連行した。

 王氏と親しい複数の関係者によると、市警察は13日朝に同市内の王氏宅を捜索後、午前11時ごろに王氏を連行した。
 自宅にあったパソコンや「新公民運動」のシンボルマークをかたどったバッジなどを押収したという。

 王氏は、7月に拘束された著名な人権活動家、許志永氏(40)との交流が深く、
 「今ある法律の枠組みの中で社会の成長を促す」
などと穏健な主張を唱えてきた。
 連行に対し、民主・人権活動家らから強い反発の声がネット上に出ている。



レコードチャイナ 配信日時:2013年9月14日 8時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76753&type=0

巧妙な監視制度でミニブログの書き込みを削除、関係者が内情を暴露―米華字メディア

 2013年9月12日、中国大手ポータルサイト・新浪が運営する新浪微博は、登録ユーザー数が5億人を超える中国最大の簡易投稿サイトだ。 
 ロイターは同サイトでユーザーのコメントをチェックする審査スタッフとして働いていた4人を取材。
 その内情についてまとめた報道を米華字メディア・多維新聞が伝えた。

 取材に応じた4人は、いずれも2013年前後にこの仕事を退職した。
 彼らの話によれば、この「審査スタッフ」の仕事に就くのは大部分が大学の新卒者で、年齢は20歳前後、月給はおよそ3000元(約4万8000円)。サイトのすべての書き込みは発表前にスキャニングされる。
 ここで少しでもセンシティブな内容を含むコメントは、審査スタッフによってチェックされることになる。

 通常時は約40人が1チームとなり、12時間交代で勤務する。
 1人あたり1時間に少なくとも3000コメントをチェックしなければならない。
 そして、ここで審査にひっかかった敏感な内容を含むコメントは巧妙な手段で処理される。
 例えば、書き込みをした当人だけにそのコメントが表示され、その他の人は見られないようにする。
 あるいは、一時的に書き込み者がコメントする権限を取り消したり、
 極端な場合はユーザーの登録自体を削除してしまうこともある。
 また、コメントに検索禁止語が入っていた場合は、まずその書き込みを遮断してから審査スタッフが手動で削除を行う。

 天安門事件のあった6月4日のような敏感な時期になると、仕事の忙しさには拍車がかかる。
 2012年に薄煕来(ボー・シーライ)元重慶市トップの政治スキャンダルが発生すると、さらにその忙しさは加速した。
 取材を受けた1人は当時の状況について、「約100人が24時間ぶっ通しで仕事をしていた」とその凄まじさを語った。

 この仕事を辞める人の大部分は、仕事のプレッシャーがとても大きく、将来性がないからだという。
 もしチェックでミスが発生してセンシティブな内容を含むコメントが広がってしまったら、当局が新浪グループに圧力を加えてコメントを削除させるが、関係責任者が処罰されたり、罰金を課せられる可能性があり、クビにされることもある。

 9月9日、中国最高人民法院と最高人民検察院はネット上で無責任なうわさを拡散させる行為に対し、厳しい処罰で臨むとの法解釈を明らかにした。
 ネット上のデマについて、クリック数や閲覧数が5000件以上、あるいは転載数が500件以上に達した場合は刑事罰に科せられ、最高で懲役3年の刑に処せられる。
 ミニブログというささやかな不満のはけ口にも従来より厳しい規制がかけられたら、市民のうっぷんは一体どこに向かうのだろうか?



毎日新聞 2013年09月14日 20時53分(最終更新 09月15日 02時38分)
http://mainichi.jp/select/news/20130915k0000m030051000c.html

中国:「ネット社会派」次々拘束 著名企業家も


●中国版ツイッターの微博。中国最大のネット企業、新浪公司が運営するが、中国政府のネット検閲にも関与している=ロイター

 【上海・隅俊之】中国で過激な体制批判は控えながら、法治や市民の権利実現などを訴える「新公民運動」を支援してきた著名な企業家、王功権(おうこうけん)氏(51)が13日、公共秩序を乱した容疑で北京の公安当局に拘束された。
 同氏と親しい人権活動家が明らかにした。中国では人権活動家らの運動を支持する企業家らにまで取り締まりの動きが強まっており、ネット上では強い反発の声が出ている。
 王氏は13日午前、20人以上の警察官に北京の自宅から連行され、パソコンなどが押収されたという。

 王氏は投資家として成功後、政治問題についても発言するようになった。
 7月に北京の公安当局に拘束された人権活動家・法律家、許志永(きょしえい)氏らを支援し、憲法に基づく理性的な行動で社会の変革を求める「新公民運動」を推進。
 共産党幹部の資産公開を求める活動をしていた許氏の拘束直後には、釈放を求めてネット上で署名活動を行っていた。

 中国当局は4月以降、資産公開を求める運動をしていた人権活動家らを相次いで拘束。
 さらに中国版ツイッター「微博」で1210万人以上のフォロワーを持ち、社会問題に積極的な発言をしていた人気ブロガー、薛必群(せつひつぐん)氏が8月下旬に拘束されるなど、ネットで影響力を持つ社会派知識人も社会引き締めの対象になっている。
 王氏と親しい人権活動家は「社会への影響力が強い王氏の拘束も、体制批判を封じるための動きの一つだ」と批判している。

 こうした動きにネット上では反発の声が出ているが、中国当局は引き締めを強める。
 中国最高人民法院(最高裁)と最高人民検察院(最高検)は今月9日、ネット上の書き込みで公共秩序を乱したり、民族・宗教的な衝突を引き起こすなどした場合は罪に問うとの法的解釈を明示。
 ネットは「公共空間」であり、そこにデマを書き込んだ場合は「騒動挑発罪」に問うとした。

 中国憲法に詳しい法律関係者は
 「政府が取り締まる公共空間の範囲を無限に拡大させるもので、危険だ」
と懸念を示している。



レコードチャイナ 配信日時:2013年9月15日 1時11分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=76736&type=0

中国のネット規制「ガス抜きの穴ふさぎ、爆発招く?」―米メディア


●12日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)は、中国のインターネット規制強化について「ガス抜きの穴ふさぎか、社会不満の爆発を招くか」と題する記事を掲載した。写真は山西省太原市のネットカフェ

 2013年9月12日、米ラジオ局ボイス・オブ・アメリカ(中国語電子版)は、
 中国のインターネット規制強化について「ガス抜きの穴ふさぎか、社会不満の爆発を招くか」
と題する記事を掲載した。

 中国当局がこのほど発表したネット規制強化は、言論の自由をさらに制限するものだとして批判を浴びている。
 中国最高裁は9日、国家の中傷や誤った情報が500人以上のリツイート、閲覧数5000件を超えた場合、誹謗罪で検挙する規定を発表した。
 ネット上でのデマによる混乱、社会秩序の乱れ、中国の国家利益を損なう行為を阻止する構えだ。

 これに対し、人民日報は社説で
 「言論の自由はデマを流す自由ではない」
とする評論記事を掲載。
 当局の規制がなければ「いずれ社会秩序は破壊される」と主張した。

 一方、当局の規制強化には反発も出ている。
 中国を圧力鍋に例え、ネットでの意見表明を
 「小さな穴から中にたまったガスを逃がすのと一緒。
 もし穴をふさげば不満は一層たまり、いずれ爆発を招くだろう
と懸念する声もある。



レコードチャイナ 配信日時:2013年9月23日 17時10分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=77022&type=0

中国当局のネット規制、完全なコントロールはもはや困難―英メディア

 2013年9月19日、英紙フィナンシャル・タイムズは、
 「中国当局がネットを規制するのは困難だ」
とする文章を掲載した。
 英BBC中国語版が伝えた。

 最近、中国公安局はネットの取り締まりを強化しており、ミニブログ(微博)で発せられる「悪意のあるデマ」を取り締まっている。
 中国政府はメディアを通して「ネット上で『悪意のあるデマ』を流す者を起訴する。
 起訴の基準はデマが5000人にクリックされるか、5万回シェアされるかだ」と発表している。

 過去数週間に、数百人のネットブロガーが拘束された。
 また、1600万のフォロワーを持つ潘石屹(パン・シーイー)氏が、当局のネット規制を支持する姿勢を示した。
 ネットの先駆者といわれる彼の意外な発言は、
 当局の“恐怖政治”が奏功した
ことを物語っている。

 しかし、完全にネットを規制することはもはや難しい。
 中国共産党とそれに反発する者たちの双方にとって、ネットは不可欠なものになったからだ。
 ネットとは社会の不満を吐き出す場所であると同時に、民意を量る重要な場所でもある。
 ネット世論を完全に封殺すれば社会の不満は増幅し、その先には非常に危険な状況が待ち受けているだろう。



サーチナニュース 2013/09/26(木) 12:21
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0926&f=politics_0926_001.shtml

中国の最近の法改正に見る「社会主義法への回帰」傾向

  「最高人民法院、最高人民検察院関于弁理利用信息網絡実施誹謗等刑事案件適用法律若干問題的解釈」という司法解釈が発表されたことは日本でもニュースになっているであろう。
 これは、インターネットなどで誹謗中傷を書き込むことに対し刑罰を科す根拠となるものである。

  この刑罰は基本的に当事者などの告訴が必要とされている。
 しかし、社会秩序の混乱や抗議活動、民族・宗教対立を招いたり、国家の利益やイメージに損害を与えたりする内容についてはその限りではないとされている。
 当然この規制に関しては、言論弾圧になるとの反対意見もある。

■社会主義法へ回帰する中国法

  しかし、この司法解釈やその他から、最近の中国法の傾向を1つ見ることができる。
 それは「社会主義法への回帰」である。

  中国法の動向は一般的に1992年の南巡講話以降は旧ソビエト連邦発祥の社会主義法から脱却し、日本法や台湾法などを参考にした法改正がなされていると言われている。
 しかし、筆者が思うにここ1、2年の法改正では社会主義法への回帰と考えられるような改正が続いている。

★. 社会主義法の根本原則の1つは
 「何においても国家の繁栄と国家の利益が優先する」
というものである。
 「国家の利益やイメージに損害を与える」内容を取り締まるという規制は正にこの国家の利益を優先するという原則の具現化と言える。

★. また、他の例で言えば、今年7月から改正出入国管理法が施行され、中国にいる外国人のビザの取得などの審査が厳格化していることも関係があると言える。
 本来社会主義国家は、計画経済を円滑に行うために国家の計画に反し急激に生産者が減少したり、消費者が増加することを問題視する。
 すなわち、自国民の外国渡航の制限および外国人の入国の制限をおこなうのである。
 つまり、この出入国管理法改正も社会主義法への回帰の1類型と言える。

★. さらに、日本でも話題になっていたと思うが改正老人権益保護法もこの影響がある。
 今年7月に改正されたこの法律は「子が親を定期的に見舞う」ことを義務化したことで、「謎な法改正」として日本でもニュースになった。

  しかし、これは社会主義法の立場から見れば決して謎ではない。
 「社会主義家族法理論」の一つに、道徳を法律化するというものがある。
 本来、子が親を見舞うというのは道徳により規制されるものと思うであろう。
 しかし、それを法律の中に規定し、義務化し、社会不安を除去するというのが社会主義家族法理論なのである。
 つまり、この老人権益保護法の改正も社会主義法への回帰の1類型と言える。

■すでに始まっている毛沢東時代(社会主義)への回帰

  このように最近の中国法は明らかに日本人の知るような法とは別の社会主義法への回帰を行っている。
 ここではこの3点を挙げるに留めるが、他にも「社会主義法への回帰」と思われる法改正はいくつかある。
 これは、習近平の打ち立てた「毛沢東時代への回帰」の表れなのかもしれない。
 つまり、法の視点からは既に毛沢東時代(社会主義)への回帰が始まっている。

  この傾向が続けば、先に述べたように社会主義法には「国家が全てに優先する」、「外国人を排除する」という原則があるため、外国人に対する規制はより強くなるものと思われる。
 中国でビジネスを行っている方たちは十分覚悟しておいてほしい。
 今後中国における外国企業にも様々な規制が強化される可能性がある。

  このように社会主義法への回帰は、外国から資本を呼び経済発展を優先するという改革開放政策とは完全に矛盾するものである。
 しかし、習近平が「毛沢東時代への回帰」と言い、実際に法改正は社会主義の方向へ向かっている。
 今の中国では外国資本はそんなに重要ではないというメッセージ
なのかもしれない。

(執筆者:高橋孝治 提供:中国ビジネスヘッドライン)




【トラブルメーカーから友なき怪獣へ】



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