2013年9月16日月曜日

中国衛星が異常な動き:他国の衛星に衝突させて破壊する技術の開発か?

_

●写真は「CNSPHOTO」提供。7月20日、太原衛星発射センター(山西省)から打ち上げられた長征4号C型ロケット


サーチナニュース 2013/09/12(木) 10:41
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0912&f=national_0912_005.shtml

中国衛星が異常な動き…米ロ「軍事技術開発か」に反論

  中国が7月20日に打ち上げた人工衛星3基が複雑で異常な動きをしているとして、米国では他の衛星を攻撃する軍事技術の開発実験の可能性があるとの見方が出ている。
 中国の専門家は
 「衛星を宇宙空間で相互に接近させる技術実験は、極めてふつうのことだ」
などと反論した。
 中国新聞社などが報じた。

  中国は7月20日、太原衛星発射センター(山西省)から長征4号C型ロケットを用いて「試験7号」、「創新3号」、「実践15号」の衛星3基を打ち上げた。
 いずれも試験衛星とされるが、不明な点も多い。

  「試験7号」はその後、突然軌道を変更して「創新3号」に接近した。
 「試験7号」はさらに軌道を変更して、「実践15号」に接近した。

  米国メディアは中国の衛星の「異常な動き」を報道。
 宇宙船打ち上げ技術の専門家であるマルシア・スミス氏の
 「中国人が何をしようとしているのか、本当のことを知っている者はだれもいない」
などの言葉を紹介した。

  中国が7月に打ち上げた衛星の軌道を変更して、他の衛星に接近させる実験を行ったことで、
中国は自国の衛星を他国の衛星に衝突させて破壊する技術の開発を進めている
との見方が出ている。

  衛星破壊技術は、軍事的に極めて大きな意味を持つ。
 いわゆる「ハイテク戦争」は、衛星からの監視、衛星を経由した通信などで、「陸・海・空・宇宙」の緊密な連携がないと成立しないからだ。
 例えば米国にとっても、敵側に衛星を破壊されたのでは、戦闘能力の優位を保つことが、極めて難しくなる。

  ロシアでも9月3日までに、中国の衛星の“異常”な動きが
 「仮想敵の衛星を細く・破壊する実験のようだ
などと報道された。

  米ロなどの報道に対して、中国の専門家は
●.「大げさに騒ぐことではない」、
●.「衛星を宇宙空間で相互に接近させる技術実験は、極めてふつうのことだ」
と主張。
●.「日本も、衛星2基を接近させ、最終的にドッキングさせることに成功したことがある」、
●.「米国も、2基の衛星を接近させることで、(片方からもう片方への)燃料を注入する実験を行った」
などと反論した。

  同専門家は
●.「西側国家による、『中国がこれらの技術を発展させて衛星破壊の能力を得ることを憂慮』との言い方は、相当に無理がある」
と主張した。
 ただし、同専門家の氏名は「本人が希望していない」という理由で、伝えられていない。

**********

◆解説◆

  中国は2007年に、自国が打ち上げ老朽化した気象衛星に、固体燃料ロケットを当てて破壊する実験に成功した。
 同様の実験は米ソも過去に繰り返し行った時期があったが、地球周辺を周回する破片(スペース・デブリ=宇宙ごみ)を大量に発生させ、衝突事故なども発生した。

  米ソなどは衛星破壊試験を控えるようになった。
 中国が全世界で約20年ぶりに衛星破壊試験を行ったため、“宇宙における環境保護”に逆行するものとして非難された。
 米国も同年に衛星破壊試験を実施したが、老朽化した衛星が地上に落下する直前に破壊したので「破片は大気圏内に突入した。
 スペース・デブリの発生はなかった」と主張した。

  地上から打ち上げたロケット/ミサイルによる衛星破壊とは同じ方法ではないが、軌道上にある衛星を他の衛星に衝突させて破壊した場合にもスペース・デブリを発生させることになる。

**********

  中国の専門家が指摘した「日本が実施した2衛星のドッキング」は、自動ランデブー・ドッキング技術の確立などを目的として1997年に打ち上げた「きく7号」を指すと思われる。

  「きく7号」は軌道上で「ひこぼし」と「おりひめ」に分離して、98年7月7日に再びドッキングすることに成功した。

  「きく7号」で得られた技術は、宇宙ステーション補給機「HTV(こうのとり)」として実を結んだ。

  「きく7号」は1.5年という設計寿命を終えても作動を続け、2002年10月30日に運用終了した。
 「ひこぼし」と「おりひめ」は“末永く添い遂げて天寿を全うした”ことになる。


 こういう動きを極秘にしている限りは国際宇宙ステーションへの中国の参加はなかなか認められないだろう。
 ということは、なんでも一人でやっていかねばならない。
 これは中国にとってはいいことだと思う。