2013年11月23日土曜日

フィリピン支援で米中日3カ国がアジアの覇権争い:海自艦が到着、本格支援へ

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●22日、韓国・朝鮮日報(中国語電子版)は、台風30号の被害を受けたフィリピンの被災地で「米中日3カ国、アジアの覇権争い」と題する記事を掲載した。写真は中国の病院船。


レコードチャイナ 配信日時:2013年11月23日 7時20分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=79503&type=0

<台風30号被災地支援>米中日3カ国、アジアの覇権争い―韓国紙

 2013年11月22日、韓国・朝鮮日報(中国語電子版)は、台風30号の被害を受けたフィリピンの被災地で「米中日3カ国、アジアの覇権争い」と題する記事を掲載した。
 以下はその概要。

 台風30号で甚大な被害を受けたフィリピンに対し、米国、中国、日本の3カ国が熾烈な支援合戦を展開している。
 日本の自衛隊は第二次世界大戦中の旧日本軍以来、初めてフィリピンの土を踏んだ。
 米国は空母を、中国は海軍医療部隊を被災地に派遣している。

 特に注目を集めているのは日本の動向だろう。
 自衛隊員は輸送機でさまざまな救援物資を被災地へ運び込み、住民が島を離れる手助けをしている。
 被害の激しいレイテ島の沿岸部には医療テントが設置され、緊急医療チームは毎日150人以上の患者を手当てしている。
 自衛隊による救援活動は、旧日本軍が残した悪夢を消すのに一定の効果を上げているようだ。

 一方、米国は大規模かつ迅速な支援により、フィリピン市民の心をつかんでいる。
 米国はアジア重視政策を打ち出しており、戦略的に今回の支援をフィリピンへの“再出陣”と位置付ける。
 中国は当初支援額の少なさが内外から批判を受け、遅ればせながら「被災地支援外交」を展開。
 米メディアは「米国と日本の支援が中国には相当なプレッシャーになったのだろう」と伝えた。



日本経済新聞 11月23日(土曜日) 2013/11/22 21:26
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2205C_S3A121C1CR8000/

 海自艦がフィリピン到着、本格支援へ 死者5000人超える
   
【マニラ=佐竹実】フィリピン国家災害対策本部は22日、台風30号による死者が5209人に達したと発表した。
 犠牲者はレイテ島やサマール島など比中部に集中している。
 行方不明者は1611人。
 被災状況の確認や復旧作業が遅れているほか衛生状態が悪化しており、被害はさらに拡大する可能性がある。

 被災地では、日米などの国際支援が本格化している。
 22日には、海上自衛隊の護衛艦「いせ」など3隻がレイテ島近海に到着。
 物資輸送などを近く始める。ほかに、航空自衛隊のC130輸送機が被災地にコメを輸送するなどの救援活動を展開。
 自衛隊の海外派遣としては過去最大となる計約1180人による支援となる。

 レイテ島とサマール島に在留届を出している日本人133人のうち、在比大使館は128人の無事を確認。
 結婚などで現地に住む人が多いとみられる。
 5人の行方が分かっていないが、在留届は申告ベースで、帰国するなどしても転出届を出さない例がある。
 大使館は確認を進めている。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 12:08
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300785.html

フィリピン支援で米中日がパワーゲーム

 猛烈な台風30号に襲われたフィリピンの災害復旧現場で、米中日が「支援競争」を展開している。
 被災した住民を支援するという人道的な「名分」だけでなく、アジアの覇権競争の舞台であるフィリピンで市民の心をつかみ、影響力を拡大しようという各国の「実利」とも一致するからだ。
 日本の自衛隊は第2次世界大戦の日本軍以来初めて、フィリピンの地を踏んだ。
 米空母に続き、中国海軍の医療船も到着しつつある。

 フィリピン政府の公式発表によると、台風30号による被害は21日現在で、死者4011人、行方不明者1602人で、物的被害額は2億3600万ドル(約239億円)に上った。
 被害規模は拡大を続けている。

 最も注目すべきことは日本の動きだ。
 21日付ウォール・ストリート・ジャーナルによると、被害が最も大きいレイテ島のタクロバン空港には20日、日の丸が描かれた鉱区自衛隊のC130輸送機2機が到着した。

 レイテ島沖では、第2次世界大戦で最大の海戦が行われ、1944年10月に米国、オーストラリアの連合軍と戦った日本軍は空母、戦艦、駆逐艦など20隻が沈没し、1万人が戦死した。
 そんな歴史を持つレイテ島に日の丸を掲げた自衛隊が70年ぶりに登場したことになる。

 自衛隊員は輸送機からさまざまな救援物資を下ろす一方、島から脱出するために長蛇の列をなす住民を乗せて飛んでいる。
 レイテ島の海岸には日の丸がたなびく医療テントも設置された。
 15日に先遣隊として派遣された緊急医療チームは毎日約150人の患者を治療している。

 最近積極的に軍事力の増強に取り組んでいる日本は、今回の自衛隊による救援活動を通じ、「日本軍」に対する悪夢のような記憶を持つアジア各国の懸念を軽減しようとしており、既にかなりの効果を上げている。

 タクロバンのある住民は「うちの地域に救援チームが来たのは自衛隊が最初だった」と話した。別の住民はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対し、「子どものころ、祖母が戦争中に日本人はとても怖かったと話していたが、今の日本の軍隊(自衛隊)による救援活動には否定的な感覚は特にない」と語った。

 米国は中国をけん制するための「アジア重視戦略」の一環で、フィリピンに再び軍隊を駐留させようとしている。
 米国は圧倒的な支援規模とスピードでフィリピン人の支持を得ている。
 海兵隊兵力と民間の救援チームだけでなく、原子力空母まで動員し、救援物資を運び、負傷者の治療にも当たっている。
 現在米国は救援活動に約9000人を投入している。
 今月10日には沖縄に駐留している第2海兵遠征旅団の先発隊が真っ先に被災地に到着し、日に日に兵力と設備支援を増やしている。
 乗組員約6000人、艦載機80機を擁する空母ジョージ・ワシントンを中心とする船団も派遣された

 米軍がフィリピンに展開するのは約20年ぶりだ。
 米軍は植民地時代も含め、約100年にわたりフィリピンに駐留したが、米軍基地の汚染問題で反米感情が高まった1991年、フィリピンは米軍駐留延長法案を否決。
 米軍はスービック海軍基地、クラーク空軍基地から撤退した。
 米軍は現在、アジアでの覇権強化を目指し、循環配備方式でフィリピンに再び米軍を駐留させようとしているが、フィリピン世論の反対に直面している。

 台風30号の被災地を支援する米軍の努力は、米軍に対するマイナスイメージを転換するきっかけとなっている。
 米インターネットメディアのクリスチャン・サイエンス・モニターは
 「フィリピンメディアが報じる米軍の姿は、もはや主権を踏みにじる勢力ではなく、命を救うプラスイメージとなっている。
 インターネットにも『アメリカよ、ありがとう』という声があふれている」
と報じた。

 南シナ海のスカボロー礁(中国名・黄岩島)をめぐり、フィリピンと領土紛争を繰り広げる中国も遅ればせながら「救援外交」に参入した。
 当初フィリピンに10万ドルを提供すると表明し、国際社会から批判された中国は、51人で構成する政府支援の救急医療チームと赤十字会の国際救助隊30人を派遣することを決めた。
 赤十字会の救助隊第1陣は20日に出発した。
 また、高い災害医療救援能力と機動性を備えた海軍所属の医療船「和平方舟」を21日にフィリピンの被災地に派遣した。

 中国外務省の洪磊副報道局長は、中国の宋慶齢基金会がこのほど、フィリピンの被災地に320万元(約5300万円)相当の仮設住宅200棟を提供することを決めたと述べた。
 ウォール・ストリート・ジャーナルは
 「戦略的要衝であるフィリピンに米国と日本の軍隊が続々入って活動する様子を見て、中国はかなりの圧力を感じたのではないか
と指摘した。

 各国が争うように被災国を支援する理由の一つは、対象国に対する影響力を高める上で最高の戦略となるからだ。
 米国は2004年にインドネシアが津波で大きな被害を受けた際にも空母を派遣するなど積極的な支援を行った。
 それにより、極度に悪化していた両国関係は劇的に改善した。
 11年の東日本巨大地震で米軍は2万4000人を投入し、「トモダチ作戦」を50日間展開。
 日本はその後、米軍基地の移転問題で前向きな立場に転じた。

 日本は10年のハイチ大地震の際、2年間で自衛隊1900人を派遣したほか、ホンジュラス、トルコ、イラン、インドなどで災害救助を通じ、自衛隊の活動範囲を広げてきた。



朝鮮日報 記事入力 : 2013/11/23 11:49
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2013/11/23/2013112300751.html

かつての激戦地レイテ島で米日が合同救援活動
太平洋戦争のレイテ沖海戦と上陸作戦で9万人が戦死
台風による被災者への救援活動では連合作戦

 22日朝、フィリピン・レイテ島の東側海域に日本の海上自衛隊護衛艦「いせ」、輸送艦「おおすみ」、補給艦「とわだ」が相次いで姿を現した。
 これらはフィリピンの災害復旧を支援するため、広島の呉港を17日と18日に相次いで出港した艦艇だ。
 11機のヘリコプターを搭載できる準航空母艦で大型護衛艦の「いせ」からは、この日もひっきりなしにヘリコプターが飛び立ち、また最先端の手術室などを備えた「おおすみ」の乗組員らは、現地で患者を治療するための準備に取り掛かった。
 超大型の台風30号の直撃を受けたレイテ島周辺の海域には、復旧を支援するため数日前に到着していた空母「ジョージ・ワシントン」や補給艦など、米国の艦隊も停泊していた。
 レイテ島で米国と日本の艦隊が出会うのはほぼ70年ぶり。
 太平洋戦争の勝敗を分けたとされる「レイテ沖海戦」を戦った両国の艦隊が、今回は同じ場所で互いに協力して災害の復旧に当たっているのだ。

■米日による史上最大の激戦「レイテ沖海戦」

 米国は1944年10月22日から27日にかけ、当時日本軍が占領していたフィリピンを奪還するため、レイテ湾とその沖合で日本の連合艦隊と激しい戦闘を繰り広げた。この「レイテ沖海戦」は両国から空母など100隻以上の艦艇や2000機に上る戦闘機が投入されるという、まさに史上最大規模の海戦となった。
 日本はフィリピンを失えば石油を供給する南方の補給ラインを失うため、米軍の攻撃に必死で抵抗した。
 日本軍が神風特攻隊による攻撃を本格的に始めたのもこの海戦からだったとされている。

 結果は日本の壊滅的な惨敗だった。
 日本は空母を含む20隻以上の艦艇が沈没あるいは大破し、1万人以上の戦死者を出した。
 一方の米国も2000人以上の戦死者を出した。
 海戦で勝利を収めた米軍はレイテ島への大規模上陸作戦を開始し、陸上の戦闘でも8万人以上の日本兵が戦死した。
 レイテ沖海戦とそれに続く上陸作戦を指揮したのはマッカーサー司令官だった。

■米日両国が史上最大規模の復旧活動

 それからおよそ70年。
 今度は災害復旧のために両国が互いに協力して作戦に乗り出した。
 米軍は現地に9000人以上の兵士を派遣し、日本も自衛隊から1180人を派遣したが、これは自衛隊の派遣人数としては過去最大規模だ。
 1945年にマニラで敗退した日本が、今回は戦後初めてマニラに陸海空の自衛隊による「統合任務部隊」を設置。
 フィリピン政府や米軍と緊密に協力しながら、効率的な復旧作業に乗り出すという大義名分を立てている。

 自衛隊による今回の作戦名は「サンカイ」。
 これはフィリピン現地の言葉で「トモダチ」を意味する言葉だ。
 2011年の東日本巨大地震の際、米軍が災害救助・救援および復興支援のために展開した作戦名が「トモダチ作戦」だったため、「サンカイ」もこれを参考に名付けられた。
 災害復旧に向けた米日両国の活動に対しては「事実上の合同軍事訓練」という声も出ている。



「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年11月22日
http://japanese.china.org.cn/life/2013-11/22/content_30676369.htm



 中央軍事委員会の許可を経て、医療船「和平の方舟」は11月21日午前11時、医療救援活動を行うため、浙江省舟山市の某軍港を出発しフィリピンの被災地に向かった。